まだ見ぬ光を求めて!スタッフインタビュー第1弾 太田 稔(監督)×岡村公平(キャラクターデザイン・総作画監督) | SPECIAL | 『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』

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まだ見ぬ光を求めて! スタッフインタビュー第1弾

太田 稔(監督) × 岡村公平(キャラクターデザイン・総作画監督)

■キャラクターデザイン担当者を決めるにあたり、社内コンペがあったと聞きました。どのような意図でコンペを行ったのでしょうか?

太田本作では“新しい京都アニメーション”をお届けしたい気持ちがありました。これまでと違ったやり方、違う印象の絵を描いてくれる人をキャラクターデザインに据えようと思ってコンペを行うことにしました。絵が上手い人を選ぼうという意図は毛頭なかったんですが、結局岡村くんになりました(笑)。コンペの題材は喜八と稲子のデザインで、みんな個性のある絵を出してくれたんですけど、岡村くんの描く喜八がとにかく心に刺さって。特に「三白眼」という意外性が。

岡村意外だったんですか?

太田それでいて主人公らしい芯も捉えていて……。このツボを突かれたなら、ベテランでも岡村くんを選ぶしかないと!

岡村僕はまだまだフレッシュですよ(笑)。

■振り返ってみて、岡村さんを選んでいかがでしたか?

太田「よかったな〜」とかいう次元の話ではないですね。技術、デザインセンス……、あらゆる意味で、岡村くんじゃなかったら作品ができなかったなと実感しています。選ぶべくして選んだ感じです。

岡村そう言ってもらえるとうれしいです。

太田コンペに参加して、岡村くんとしてはどうでした?

岡村実は本作の前にTVアニメ『CITY THE ANIMATION』のキャラクターデザインでもコンペがあったんですよね。最終選考まで残ったんですが、惜しくも徳山(珠美)さん(※1)に決まって。悲しい気持ちでいたところに『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』でもコンペをやると聞いて。でもその時は『CITY THE ANIMATION』の演出に入っていて、演出の方に力を入れたい気持ちがあったので本作のコンペに参加するつもりはなかったんです。けど、たまたまスタジオ内でプロデューサーの瀬波(里梨)さんに「岡村さんは出さないんですか?」って声をかけられて。「いや〜……」って濁してたら「山村(卓也)さん(※2)も出しましたよ」と言われて。「え、山村さんが出すなら僕も出さないと!」となって(笑)。それからはやるだけやってみようと、本気を出してやりました。ただ、その情熱は喜八の方に集中しすぎたかもしれません。

太田そうかな? でも、喜八がズバ抜けてはいたかな。なんとなくその情熱は感じていました。

岡村そうですね。喜八のデザインは、結構すんなり出てきたんですよ。監督からの要望やイメージ画、シナリオの喜八の性格を考えたら、デザインの雰囲気はスッと出てきて。太田監督からは「ファンの方がコスプレしたくなるような、楽しんでもらえるデザインにしてほしい」というような話もありましたよね。

太田確かに言ってました。コスプレしてもらえるようなデザインになったと思ってますよ。

岡村その話があったので、普通の着物ではなくアレンジを加えて、ぱっと見て本作のキャラクターだとわかるようなアイテムを付けました。包帯や後ろにつけている三連ポーチですね。大工さんとかがポーチを腰につけてノールックで道具を出してるの、かっこいいじゃないですか。だから、技術者の喜八にも絶対つけたいと思ったんです。

※1TVアニメ『CITY THE ANIMATION』キャラクターデザイン・総作画監督 / 『CITY THE ANIMATION』公式サイト

※2TVアニメ『ツルネ』シリーズ監督 / 『ツルネ -つながりの一射-』公式サイト

■衣装の多くは着物ですが、そこで苦労はありましたか?

岡村これは……苦労しかないです(笑)。たぶん絵を描かない人にも想像できると思いますが、着物の柄を手で描くのは大変です。貼り込み素材で済ませる案も出ましたが、漢・太田監督が「いやいや作画でしょ」って。その一言で作画になりました。柄もいろいろ考えましたが、中途半端な柄って制作側の裏が透けてしまうんですよね。作画のカロリーを考えて柄を抜いたんだろうな、とか。でも久しぶりの京都アニメーションの新作なので、力を入れないといけない。原画や動画、他のセクションからもいろいろと意見が出るのは承知の上で、ここは絶対にやり切ろうと、僕と太田監督で踏み切ったわけです。本作ではキャラクターデザイン作業に、デジタル作画を導入していて、今までは線画を上げてから着彩してもらう流れだったんですが、着物って色がついてなんぼのところがあるので、本作では初めから色付きで設定を描いてその印象を線画に落とし込むという手順で描きました。そこがいつもと違う、着物のこだわりポイントです。

太田僕はいつも、岡村くんに色までつけてもらって申し訳ないな、と思いつつ見てました。

岡村そうなんですか?

太田はい。「作画カロリーのことに目をつむって着物の柄を考えた」と話してくれましたが、実は僕は岡村くんがそう提案してくれるのを「しめしめ」と見ていました。僕が決めかねていたら、岡村くんからみんなに提案してくれて、それで「岡村くんがいうなら、そうだよね」と持っていく(笑)。

岡村(笑)。たしかに監督が悩み出したら「これでやりましょう」、「あとで一緒に怒られましょう」と僕から言っていた気がします(笑)。でも僕に限らず、本作のメインスタッフはそういうタイプが多かったですよね。自分から難易度を上げていくタイプ。

太田そうですね。

岡村たとえば色彩設計の大塚(芙由紀)さんとか、美術監督の高山(真緒)さんとか。みんな自分でどんどん難易度を上げていって、太田監督が望んでいるであろうクオリティからさらに一歩先の提案をしようとする。面白くていいチームでしたね。

太田みんなぐいぐい来て、アイデアをどんどん出してくれて、とても助かりました。本作について僕の個性とかよく言われますけど、みんなからくる意見も多分に入っているんです。それ故に、バラエティ色の強い作品になったのかなと思います。

■太田監督から見た、キャラクターデザイン・岡村公平とは?

太田僕の意図をある程度汲みつつも、キャラクターに関しては僕よりも上を行っていた人だと思います。オーダーは僕がしましたが、どのキャラも僕の想像を超えたものになっていたので。「キャラクターデザインはかくあるべし」と思いますし、岡村くんはそれができる人なんじゃないかなと思います。

岡村最初は太田監督がどんなものを好むのか全然わからなかったです。なのでコミュニケーションを重ねて、言動や趣味から「太田監督研究」をして(笑)。そうしたら、ある時から太田監督のやりたいことがわかるようになってきて。

太田最近は僕の通訳をしてくれることもありますよね。

岡村他のスタッフから「なんでわかるの?」って気持ち悪がられたりしてますよ(笑)。

■逆に岡村さんから見た、太田監督とは?

岡村ご自身ではよく「人の意見に流されやすい」と言ってますが、全くそんなことはないです。太田監督はとても頑固な人です。周りからは意見を全く変えない人だと思われてます。

太田そうなんですか。僕、頑固ですか?

岡村頑固です! 「作品のために頑固」であって「自分のために頑固」ではないので全然いいと思いますけどね。制作に入るころ、太田監督は「みんなで楽しい地獄を見ましょう」と言っていましたね。いい言葉だと思いました。しっかり地獄も見れました。

太田非常に美しい景色でした。

■本作を観てクリエイターを志す方もいるかと思います。そんな方々にお二人から伝えたいことはありますか?

岡村絵描きに限りませんが、できるだけ色んなことを経験しておいた方がいいです。キャラクターデザインをするにしても、色んな文化に触れていないと、その文化の絵が描けなかったり、資料だけで描いたとしても現実味がなかったりします。さきほどの喜八の三連ポーチの話もそうですね。かっこいい仕草を見て、キャラクターにやらせたいと思うことが生きてきます。そういう情報や経験は絵を描くところまで結びついてくるので、旅行してもいいし、色んな職業を体験してもいいし。その経験がどこかで活きてくるのは間違いないです。画力を上げることも大切ですが、それ以上に色んなことを経験しておくことが一番大事かなと思っています。あとはコミュニケーション能力。これも大切です。

太田そうですね。自分が好きなものばかりでなく、興味のないもの、嫌いだなと思うものも積極的に見ておくこと。嫌いは嫌いでいいけども、それを知ろうとする努力・習慣が身につけられるといいなと思います。特に本作の制作ではそれを実感しました。興味のあるものだけだと、どうしても入ってくる情報が狭くなってしまう。時間がもったいないと思えるくらいチャレンジしてもらえると。実は僕は男の子がたくさん出てくる物語には興味がなかったんです。でもアニメ『Free!』シリーズに関わる中でそういったものも研究するようになって。そして自分の中に情報が蓄積されると、楽しみ方がわかってきて、むしろそういう物語が好きになったりしました。好き嫌いせず、なんでも経験してみてください。

7月5日(日)23時より
TV放送&Netflix配信開始!

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