#01 明滋時代 | 世界観設定コラム The World | SPECIAL | 『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』
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世界観設定コラム The World
#01 明滋時代
世界観設定 鈴木貴昭
19世紀中ごろ、長らく鎖国をしていた幕府は浦賀にやってきた蒸気船(黒船)によって混乱の渦に叩き込まれた。
幕府と諸藩は近隣諸国に西欧列強が急速に進出しているのを受けて、諸外国へと蒸気船の購入を打診、また佐賀藩では中多重久、薩摩藩では三添悟輔らを中心として海外の文献から独自の蒸気機関開発を行っていた。
だが、模型の開発には成功したが、実際に人を乗せて動く蒸気船の建造は難航していた。
そんな折に来航した黒船は当時の和船の倍以上の長さの巨艦であり、黒い煙を吐きながら風もないのに高速で移動する姿は大きな衝撃を与えた。
それまで莫大な予算を必要とするので消極的だった幕府や諸藩は、蒸気機関開発を促進、薩摩藩では雲行丸が完成した。
だがオランダから幕府へと寄贈された観光丸と比べるとその完成度はけた違いであり、三添悟輔は海外渡航を計画するが頓挫、子孫へ海外留学をするように命じた。
また三添は薩摩藩の集成館事業を引き継ぎ、後の三添商店の基礎を作り上げた。
後に戦乱に巻き込まれて集成館は機能を喪失したが、薩摩藩を支援した外国勢力から最新の技術を導入して再建、三添商店が本格的に蒸気機関製造を開始する。
一方長崎伝習所で学んでいた悟輔の息子の亥輔は、万延元年遣米使節に同行して咸臨丸へ乗船、途中機関故障を修理して実力を認められ、帰国後中多重久の元で幕府蒸気船の開発に携わる。
急速な時代の流れと諸外国からの圧力の中、疲弊した幕府では対応は困難であり、新時代に即した中央集権的な明滋新政府が誕生した。
政府は急速な近代化を国是として掲げ、その一つとして積極的な蒸気機関の導入を行った。
三添悟輔は三添商店東京本社を立ち上げ、長男の亥輔を東京、次男の嘉輔を神戸支社に配置、政府と組んで鉄道敷設や各種工場や鉱山への蒸気動力の導入を行った。嘉輔は空き地になった京都の土地を次々と購入、後に三添パークとなる一大工業団地を作り上げる。
一方、中多重久が銀座に蒸気機関工場を創設、亥輔と密接に交流し、蒸気機関の開発と製造を行った。
同時期諸外国では蒸気機関の効率化が推進され、特にメンローパーク・ガス&スチーム社の開発した蒸気配送システムによって、各家庭に蒸気によって熱と動力を送り届けることが可能となったため、家庭に様々な蒸気器具が導入されるようになった。
例えば蒸気釜、蒸気湯沸かし、蒸気火鉢など、それまで火を使う必要があったものが蒸気化され、火災の危険性が大きく減少することとなる。
ただ、蒸気機関はお湯を沸かして蒸気を発生させる必要があったため、始動までに時間が掛かるのと機材が大掛かりになるのが欠点であったが、少量の水を加熱して短時間で高圧蒸気を発生させるフラッシュボイラーが実用化されたことでその問題も解決した。
フラッシュボイラーはそれまでの蒸気機関に比べてコンパクトで軽量であったので、蒸気自動車などの動力として使われるようになる。
こうして明滋時代は蒸気の時代となっていった。
※登場する人物・団体・時代等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
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